【1周年記念コラム #3】理想のお客さんは「最高のインテリア」
人は何かと”理想”を描きがちだ。
実際に叶うかどうかは別にして、目の前の全ての人・物・起きる出来事に「こうであるべきだ」「こうだったらいいのにな」を考え、ときに発言や行動として発露する。
それは決して悪いことではない。むしろ良いことだ。
“理想”(=目標とするゴール)を掲げ、そしてそれがはっきりしているほど、実現のために持つべき考え・行うべき自分の行動が明確になり、理想が叶えられる確率が上がる。
理想があるからこそ、成し遂げられることもある。
僕はそう信じている。
カフェにおける”理想のお客さん”って、どんなお客さんだろう?
カウンター席でコーヒーを飲みながら、僕はよくそんなことを考える。
でも、決まりきった答えが出たことは、一度たりともなかった。
「これかな?」と思っても、全てのお店に全て当てはまるものではない。
どれも断片的で、再現性に欠けるものばかり。
人が”みんな違って、みんな良い”のと同じように、カフェもそれぞれ違うのである。
しかしつい最近、我が師の言葉をヒントに、「カフェ」という業態の全てのお店に共通して当てはまる「理想のお客さん像」を、僕は見つけた。
「最高のインテリアになること」
これだ。
しばしば、カフェのことを「空間のビジネス」と定義する人がいる。
コーヒーを飲むだけなら、ケーキを食べるだけなら、ゆっくり過ごすだけなら……飲食物のクオリティやレベルはともあれ、家でも事足りるはずだ。
ということは、人はそれ以上の何かを求め、カフェに足を運んでいる、ということになる。
では、その”何か”とは、何なのか。
カフェでなければいけない理由。それは、居心地や雰囲気の良い「空間」なのだと思う。
そんな「空間」を創り上げるために、僕たち「お客さん」の存在は必要不可欠だ。
お店側が最高の空間を用意しても、お客さんがいなければ、客商売であるカフェは成り立たない。
いわば「カフェというパズルの”最後のピース”」であるわけだが、ここで僕らに問われるのは「どんなピースであるか」ということ。
何も難しい話ではない。
- 静かで落ち着いた雰囲気のカフェでは、二人以上で来ても静かに会話する
- それぞれのお客さんがゆったりとした雰囲気を楽しむカフェでは、パソコンでの作業はしない
- 席数が少ない人気のカフェには、三人以上では行かない。混んできたら、さっと席を明け渡す
こんな風に、一つひとつのお店の状況に合わせて、お客さんである自分が、そのお店が空けて待っていてくれる「最後の1ピース」にカチッとはまる形で入っていく。
言い換えれば、まるで自分が店内のインテリアの一つであるかのように、少しだけ意識して振る舞えばいい。
無くても違和感はないけど、あったらもっとお店全体の雰囲気が引き立つ、そんなインテリアの一つであるように。
これが理想なんじゃないかな、と僕は思う。
僕は何かと”理想”を描きがちだ。
「たかだかカフェに行くだけでそこまで考えることないじゃない」と笑われるかもしれない。
しかし、愛は注いだ分だけ返ってくる。注がれた愛の分だけ、カフェはもっと良い空間になる。
「大好きなカフェの最高のインテリアになる」
これが、僕の掲げる理想。
理想があるからこそ、成し遂げられることもある。
僕はそう信じている。
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