【山梨カフェ】北海道民の僕が山梨県・韮崎の「アメリカヤ」リノベ復活から学んだこと
例年、時期的にそこまで慌ただしくもならない、ゴールデンウィーク明けの5月中頃。
それを見越して金曜日に有給休暇を入れ、今週は昨日から一足早い週末に。
日曜日に長野県松本市で、正味1時間半の用事があるので、少し早めに途中の甲府まで移動してきました。
新宿駅で特急かいじに乗る前に買った、OIMOというお店の「生スイートポテト(ブリュレ)」。
サクサクパイ生地の上に、しっとりなめらか食感の焼いていない”生”スイートポテトが乗っかっているという新感覚スイーツで、味のバリエーションも店頭だけで7~8種類くらい?ありました。
まだ正式な店舗はなく、このように期間限定の催事+ネット通販がメインとのことですが、これから流行りそう。要チェックです。
甲斐路を行く。
車窓にこの盆地の光景が見えると、「来たなぁ」という感じがします。
途中、山梨市駅で寄り道をして、普通電車に乗り換え。
甲府駅を通り過ぎて、辿り着いたのは韮崎(にらさき)駅。韮崎はあの、サッカーの中田英寿さんの出身地でもあります。
15年間の「廃ビル」経験を経て復活した、韮崎駅前のランドマーク「アメリカヤ」という奇跡
JR韮崎駅から歩くこと数分。
外観が明らかに最近のものではない、異様な雰囲気をまとったビルが現れます。
「アメリカヤ」
1967年に韮崎中央商店街のシンボルとして創業し、食堂や喫茶、旅館などの複合施設として地域の人に愛されてきましたが、オーナーが亡くなられたときに、長い歴史に幕を下ろしたそうです。
そこから15年もの間、いわゆる「廃ビル」状態だったアメリカヤを復活させようと動いたのは、地元・韮崎の建築事務所IROHA CRAFTでした。
「いつか、自分たちの手で」という想いを持ち続けていたという、復活劇。
間近に住み、見守り続け、一番良いタイミングを見計らっていた彼らにとっては、もしかしたら”必然”だったのかもしれません。
しかし、かつての雰囲気を残しながら、新しいものとして輝きを放っているこのビルの「イマ」を見て、そしてアメリカヤ50年以上の歴史を知ると、他所から来た僕にはもう”奇跡”としか思えませんでした。
新生アメリカヤは、1階にカフェの「ボンシイク」、2階にDIY用品のショップ、3階には個性豊かな5つのテナントが入り、4階がIROHA CRAFTの事務所、最上階の5階はフリースペースになっています。
アメリカヤビルの顔・1階のカフェ「ボンシイク」
1階のボンシイク。名前の由来は「食いしんぼ」を逆さに読んで、なんだとか。
歴史あるビルの味わいを見事に活用して、最高の雰囲気を提供してくれています。
そもそも、アメリカヤに来るきっかけになったのは、このカフェにInstagramで出会ったから。
そのときになんとなく「あ、良いかも」と思わなければ、アメリカヤとの出会いもなかったわけで。感謝してもしきれません。
キャラメルとバナナのケーキがとても美味しかったです。
初夏を感じさせる爽やかな夕方に飲む、ウィルキンソンのジンジャエールも最高でした。
アメリカヤから学んだ「地域にあるものを活かす」成功のポイント
「歴史あるビル(建物)をリノベーションして、復活させる」というのは、あくまで一つの手法であり、突き詰めていけば「地域に今あるものを活かす」ということだと、僕は考えます。
ビルに限らず一軒家でもそうだし、建物に限らず人材や自然の資源もそこに含まれる。
この可能性は、日本中どこの地域も多かれ少なかれ持っているでしょう。
では、なぜ韮崎のアメリカヤがここまで素晴らしい復活を遂げることが出来たのか。
各テナントのセンスの良さという要素ももちろんありますが、それ以上に「地域への熱い想い・愛」と「ストーリー」が合致し、人の心を動かしたからだと思います。
50年以上前に建てられた街のシンボルが一度は廃ビルとなり、15年間も放置された。
しかし、地元の人の手によって改装され、今では地域のカルチャーの発信地・地域コミュニティの場になっている。
地元民にとってはこんな誇らしい話はないですし、よそ者から見てもこんなワクワクする話はありません。
このストーリーこそ、アメリカヤ復活成功のポイントなんじゃないかな、と思います。
◇
僕らの街にもかつて、ハリネズミ珈琲店という多くの市民に愛される偉大な場所がありました。
ビルの老朽化によって、残念ながら今年3月に閉店してしまいましたが、僕らがハリネズミ珈琲店にあそこまで魅せられ、ファンになったのは、大通の街なかの“あの場所”にある“あのビル”の“細い階段を上った4階に店がある”という要素に、なにかものすごくワクワクするストーリーを感じていたからなのではないでしょうか。
少なくとも、僕はそうでした。ただカフェに行くのとは違う、それ以上のなにかがあった。
遠く山梨県のアメリカヤを訪れて、肌で感じた今、そう確信します。
建築事務所の方に許可をいただき、上らせていただいたビルの屋上。
ここから全てを見渡せてしまえそうな人口約3万人の小さな街で、この”奇跡”(と呼ばせてください)が現在進行系で起こり続けているのは、全国の色々なマチにとって「大きな希望」でしかないと思います。
アメリカヤの今後の展望として、近くに飲食店(お酒を飲めるところ?)を集めた横丁を作ったり、ゲストハウスを作ったりして、さらに街全体を盛り上げていくプランがあるそうです。
札幌にも古い建物を活用したカフェやお店はたくさんありますが、街全体(あるいは、もっと小さなエリアでも)を盛り上げていくという点では、まだまだ出来ることはたくさんあるんじゃないかな?という気づきを得るきっかけにもなりました。
どんなストーリーを紡いでいけるか、考えながら札幌の街を歩いてみようと思います。
2階のDIYショップで自分用のお土産に買った、アメリカヤオリジナルのグッズ。
この素晴らしい出会いを忘れないように、大事に札幌まで持ち帰ります。
帰り際、電車のドアの隙間から覗くアメリカヤは、ものすごく偉大な存在に見えました。
北海道からはなかなか行きづらい場所ではありますが、ぜひ訪れて欲しいと心からオススメできる場所です。
【Shop info】
◇住所:山梨県韮崎市中央町10-17
◇最寄り駅:JR中央本線 韮崎駅
◇駐車場:あり(詳細はHPで)
・アメリカヤ:@americaya1967
・ボンシイク:@bonseek__