【1周年記念コラム #2】カフェを愛する人を増やす。この札幌で
北海道外の、とある町のカフェでの話。
(※本文と写真に関連はありません)
平日の昼下がり、もうだいぶお腹が大きくなった妊婦さんが、慣れた様子で店内に入ってくる。
オーダーから察するに、自家焙煎をやっているこのお店の「カフェインレス アイスコーヒー」をテイクアウトで買いに来た模様。
彼女は商品の提供を受けた後もしばし、親しげにマスターとの話に花を咲かせている。
どうやら、常連さんらしい。
「あ、◯◯ちゃんが来たわ」
お店の小窓から、同じく常連さんらしい、幼稚園児くらいの子どもを連れた女性が自転車で来店したのを見て、彼女はそう言った。
程なくしてその人も子どもと一緒に輪に入り、そこからしばらく楽しげな会話が繰り広げられていた。
この光景を一通り目の当たりにした僕は、「地元の人が気軽に集える、良いお店だな」という感想と同時に、2つの問いを自分の中に持つようになった。
「札幌に、こんな風に地元(「札幌」という広い単位ではなく、もっと限定的な町単位)の人が気軽に集えるお店ってあったっけ?」
「そういうお店があったとして、札幌の人はカフェをそんな風に気軽に使えているかな?」
瞬間的に札幌の色々なお店を思い浮かべて、前者については「そのポテンシャルを秘めたカフェはたくさんある」という結論に至った。
大通や札幌駅周辺という札幌の”都心”を離れたエリアにも素敵で、なおかつ地域の人をオープンに迎えているお店は、多すぎるくらいに多い。素晴らしいことに。
問題は後者だ。
僕が他の地域と見比べて思うに、札幌における「カフェ」という場所は、日常的にそこに行かない人にとって、店のドアを開けるまでのハードルがまだかなり高い。
これは、札幌という土地で「カフェ」という”文化”が、まだ浸透しきっていないことに一因があるのではないかな?と分析している。
違う言葉で言い換えると、札幌の人の多くが、カフェが「どんな場所なのか」「どういう風に使っていい場所なのか」を掴みきれていない。そんな気がする。
その結果、現状では札幌のカフェに訪れる人の構成比の大部分が、Instagramなどで能動的に情報をキャッチすることができる「カフェ好きな人」になってしまっている。
悪いことではないが、それ以外の層も取り入れて、カフェを使う人全体の母数を増やしていかないと、札幌の街に真のカフェ文化を根付かせることはできない。
幸いなことに、札幌では何十年も前から「喫茶店」という空間が愛され、人々の生活の中で大きな存在感を発揮してきた。
それは今も続いていて、「昔ながら」という表現がよく似合うお店が、依然として支持を得続けている。
「カフェ」と「喫茶店」。
その違い・関係性について、明確な線引きは無いながら”別物”として扱われがちな両者だが、「お茶や軽食を楽しみながら」「心落ち着く空間でゆったりと過ごす」という本質の部分については、全くと言って良いほど違いはない。
つまり、カフェも喫茶店と同じように、札幌市民の生活の中で”しっくり来る”存在になることができれば、もっと多くの人が日々の中で気軽に使えるようになる、ということではなかろうか。
では、そのためにどうしたらいいか?
これこそ「百聞は一見に如かず」で、実際にカフェに足を運んでもらって、一人ひとりに感じ、味わってもらうしかない。
行ってみてカフェの心地よさを味わうことができれば、自然と自発的に足が向くようになるだろう。
そのきっかけを、すでにカフェのことが大好きな僕たちが作っていかなければならない。
それが、この街の大好きなお店への恩返しになる。
形は何でも良い。
InstagramやFacebookなどでお気に入りのお店を紹介するのも良いし、お休みの日に一緒に連れて行くのなんて最高だ。
A Day in the Cafeも「札幌のカフェとあなたをつなぐメディア」として、誰よりもその役割を果たすことが出来るよう、努めていく。
この札幌という街がカフェ文化の根付く、素敵な街であり続けるように。
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