【両国カフェ】東京・喫茶ランドリーが示す「21世紀に求められる本当のまちづくり」の1つの形
最近、すっかり「地域の古い建物をリノベで復活+カフェ」という形にハマってしまっている僕。
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【コラム】nokuticaが紡ぐ、溝の口という街で90年間綴られてきた素敵なストーリーの「続き」
先週はたまたま木曜日がお休みだったので、ちょっと足を伸ばしてまた東京まで。
新たな学びと知識を得るために今回向かったのは、スカイツリーの近く、両国駅。相撲の聖地・両国国技館の最寄り駅でもあります。
駅を出てすぐの道。
ちょっとカオスな裏道感が、下町を感じさせて良い感じです。
こんな風景も、北海道に住んでいるとあまりお目にかかれません。
インターネットで調べても出てこないような、こんな何気ない街のローカルな一面を目に焼き付けるのが旅の醍醐味だなぁ…と改めて思います。
両国駅から10分ほど歩き、たどり着いたこの場所の名は「喫茶ランドリー」。
その名の通り、カフェとランドリーが併設されている、というお店です。
このお店のことは、喫茶ランドリーの企画・運営をしているGroundLevel(グランドレベル)という会社の大西正紀さんのnoteで知りました。
「喫茶ランドリー」はどうしてヤバい?市民の能動性を引き上げ、受け入れる。グランドレベルの壮大な実験がはじまりました。
なんて素敵な場所…!いつか行こう…!
と、心の中でキープしていたのですが、個人的にリノベがアツい今が一番のチャンス!と思い、行ってきました。
喫茶ランドリーってどんな場所?ざっくりご紹介
喫茶ランドリーは、正面入口から入って手前がカフェスペース、奥がランドリーのスペース(「家事室」)になっています。
築55年の建物をリノベーションしただけあって、昔からの風合いを感じさせる部分もあり、それに合わせて配置したのであろうレトロな雰囲気の椅子や電球も良い感じです。
少し階段で下に降りるこちらは、通称「モグラ席」。
半地下の”籠もり感”が人気だそうです。
ランドリーエリアに設置されている洗濯機は、スウェーデンで歴史のあるブランド「エレクトラックス」の最新機器!
コインを入れて動かす機器ではないので、「コインランドリー」ではありません。受付でお金を支払い、使い方を教えてもらって、操作します。
ちょっとしたコミュニケーションが生まれる仕組みがある、これが喫茶ランドリーの大事なポイント。
僕が滞在している間にも、男性のお客さんが乾燥の終わった洗濯物を取りに来られているのを見ました。
カフェでは、ジンジャエールと米粉のロールケーキをいただきました。
シンプルな味わいで、ホッと安らぐ美味しさです!
喫茶ランドリーから得た学び…「とにかくオープンな場所に」
僕が喫茶ランドリーに滞在した1時間ほどで、店内や他のお客さん、スタッフの方の様子を観察していて、学んだこと。
それは「やってくる人誰もが施設内に入りやすいように、心理的ハードルを極力ゼロに近づけるための様々な仕掛けを考え、細やかに実施している」ということです。
①入り口を出来る限りオープンに、間口を広く
このお店にとって、最重要と言ってもいいポイントの一つではないかと思います。
お店のフロントは全面ガラス張りで、扉も開放しています。
これで「中がどんな様子なのか」「今、どんな雰囲気なのか」が一目瞭然です。
初めて入るお店でありがちなのが、「中はどんな雰囲気なのだろう…自分が入っても大丈夫かな…」という、心理的なハードル。
ついつい「入ってみて、雰囲気が合わなかったらどうしよう…」というところまで被害妄想的に考えてしまって、ときに店のドアを開けるのを躊躇わせたりもします。
これがなぜ発生するのかというと、単純に「入ってみるまで中が見えないから」なんですよね。
で、喫茶ランドリーはこのネックを、”中の見える化”という形で解消し、上記のような心配を無くしてくれています。
思い返せば、韮崎のアメリカヤ(カフェ:ボンシイク)も、溝の口のnokutica(カフェ:二坪喫茶アベコーヒー)も、「建物の1階」で「非常にオープンな店構え」という共通点があります。
人の集まる場所には、大事な要素の一つであることは間違い無さそうです。
②立て看板インフォメーションで、一見さんの不安を解消
個人的に非常にナイスだなと思ったのが、入り口の立て看板。
アップの写真を撮るのを忘れてしまって非常に申し訳ない…!のですが、ここには以下のような記述があります。
- 営業時間:10時~20時
- お席は自由となります
- ご注文は、左手のレジでお願いいたします
「(店員さんに席の案内をされるまで)どの席に座ったら良いのか」
「(店員さんに教えてもらうまで)先に席に座っていい方式なのか、先にレジで注文をする方式なのか」
この2つって、初めて入るお店で地味に、しかしずっしりと一見さんにプレッシャーをかける問題だったりします。
店員さんに「あっ、こちらの席ではなく奥へ…」とか「あっ、先にこちらでご注文を…」とか、言われて良い気分がするものではありません。
(「知らないよ。だって、初めてだもーん」と開き直れば良いだけの話でもありますが。笑)
そんなちょっとした心理的リスクを”店員さんに案内される前に”アナウンスしてくれているのも、素晴らしいおもてなしです。
③「ランドリーだから」という”大義名分”
これは、僕が勝手に思っていることなので、もしかしたら見当違いかもしれません。
僕のようにどんなカフェにも一人で入っていくことの出来る人も居ますが、世の中には「カフェ(喫茶店)という空間に一人で足を踏み入れることが出来ない」という方もたくさん居ます。
そんな人にも入ってきてもらうための1つの工夫が、「ランドリー」というもう一つの側面なんじゃないかな、と思いました。
ランドリーがあることによって、
「いや、洗濯しに来たんだよ。僕は。で、洗濯が終わるまでの時間つぶしも兼ねて、このカフェでお茶をしているんです」
という、自分の中での”言い訳”が出来ます。大義名分、みたいな感じで。笑
これも人を動かすための、大事な仕掛けだと思います。
◇
ちょっと話が逸れますが、今度「札幌男子がカフェに入りやすくなるような、大義名分になる(なって欲しい)企画」をやる予定です。
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「地域に開かれた場を作る」はスタートであり、目指すのはその先
喫茶ランドリーがいかに開かれた場所であるかは、きっと僕の力説で伝わったことでしょう。笑
でも、入って来やすいようにするのはあくまで”スタート”であって、目指すものはさらにその先にあるのだと思います。つまり、全ては目指すものを実現するための手段、というわけです。
先ほどリンクを貼った大西さんのnoteに、こんな記述があります。
場をつくるとか、コミュニティとか、そんな言葉に踊らされる時代はもう終わりにしなくてはいけません。いかに多くのアノニマスな市民を引き寄せ、自然と会話をしはじめる。その上で、それぞれが自由に存在できる。ささいなやる気が簡単に実現できる場がある。そういう場でまちが溢れている。それが、これからの21世紀に求められる本当のまちづくりだとわたしたちは考えています。それこそが「健康」や「幸せ」につながり、経済がより活性化していくのです。
このビジョン、凄すぎませんか?
[現状]
既存の街、施設、枠組み……そこには明確な限界が見えていて、実際に衰退が進んでいて、「じゃあ、市民の皆さんどうぞご自由に」ではどうにもならない状況。
[創設(スタート)]
それをなんとかしましょう!と創り出されたのが「喫茶ランドリー」という、これまでにあったようで無かった全く新しい場所。
[効果]
喫茶ランドリーが地域にあることで、「自然な会話が生まれ」「ささいなやる気が簡単に実現でき」、そして「それぞれが自由に存在」することが出来る。
衰退が進む地域はたくさんありますが、そこにはその場所を離れられずに住み続けている人、そしてその場所が好きで住み続けている人がいます。
その人たちが幸せに暮らせるように、このムーブメントが日本全国、様々な街に広がって行くことを願ってやみません。
そして、これを行政ではなく、事業として行う尊さ。
何をするのでもそうですが、お金のことは切っても切れない話なので、収益を出すビジネスモデルとしてもトップランナーであり続けて欲しいと願います。
◇
「札幌で、何が出来るだろうか?」
ここ数週間、ずっと考えていますが、まだ明確な答えは見つかっていません。
それに、今の僕が持つリソースでは、すぐに何かを実現することは難しいでしょう。
しかし、韮崎のアメリカヤ、溝の口のnokutica、そして喫茶ランドリーを見ていると、もし僕が札幌で何らかのことが出来るとしたら、必然的とも思えるタイミングでそのような話が来るのだろうな、という”確信”さえ今は持っています。
その時に一気に走り出すことが出来るように、今はさらに学びと知識を深めたいと思います。
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◇住所:東京都墨田区千歳2-6-9 イマケンビル1階
◇最寄り駅:森下駅(都営新宿線・大江戸線)A2出口より徒歩5分
両国駅(JR総武線)東口より徒歩8分(800m)
◇駐車場:なし
◇HP:喫茶ランドリー
◇Instagram:@kissalaundry